パ ブ リ カ





あれはたしか、高校2年生の時だったと思います。

友人「青木」の家に、廃車済みのトヨタパブリカ(車)がありました。

ある日「片岡」「前田」そして俺の3人で「青木」の家に遊びに行き

なぜかパブリカに乗ろうということになりました。

もちろん無免許ですが、敷地内なので警察に捕まるような心配は

ありません。

交代で乗っていましたが、事件は「片岡」に運転を代わった直後に

起こりました。

助手席には「前田」後にはσ(^_^)と「青木」が乗っていました。

車の運転は始めてらしい「片岡」は緊張気味です。

身体の動きがギクシャクしてます。

ギアを1速に入れてエンジンを吹かし、クラッチをつないで発進…

しようとしたらノッキング気味で車もギクシャク。

止まりそうになってます。

そして何を思ったのか、あせってアクセルを全開にしちゃったもんだ

から、さ〜あ大変!

バブリカは植栽塀に、一直線に向かってしまいました。

みんなの「ブレーキ!ブレーキ!」という大声にびびった「片岡」は

アクセルを急に戻しました。

1速なのでエンジンブレーキがきいて、全員がオデコをぶつけそうな

くらい前のめりになりました。でも、それは一瞬でした。

パニックになった「片岡」は、アクセルを戻してからブレーキを踏むつ

もりでまたまたアクセルを全開!今度は全員が後にのけぞります。

4人でギッタンバッコンです。

ちなみに、この時の加速Gはσ(^_^)が今まで生きてきた中で最高

最強の体感加速Gです。

そして、パブリカはエンジン全開のまま、植栽塀に向かって一直線!

もう、なす術などありません。全員が死を予感しました。


「バキ、バキ、バキ〜!ガン!ゴットン・・・」


パブリカは植栽塀をなぎ倒して、その先のコンクリートで出来た井戸

にぶつかって、やっと止まりました。

ぶつかった勢いで井戸は割れてしまい、割れた井戸は崩れ落ちてし

まいました。

ぶつかった直後はみんな固まってます…言葉にもなりません…

数秒後、気を取りなおして声を掛け合います。


「おい!大丈夫か?怪我はないか?」


シートベルトをしていなかったのに誰も怪我は無いようです。

でも運転していた「片岡」は一人で大パニックです。

何やら訳のわからない言い訳を大声・早口で叫んでます。

そんな「片岡」は無視して3人で作戦会議。


「どうすっぺ?まずは木の上の動かない車を何とかしないと!」


結局は車をジャッキアップして、ノコギリで車の下敷きになって

しまった植栽を切って、最後は車を押しながらなんとかかんとか

動かしました。

キレイに剪定されていた植栽塀はズタズタになってしまい、パブ

リカも前がへこんで悲惨な状態です。

しかも壊れた井戸は直せません。

まぁ誰も怪我をしなかったし、壊したのも植栽の塀・廃車済みの車

使っていない井戸なので不幸中の幸いかもしれません。

でも当事者の「片岡」は真っ青な顔で小刻みに震えてます。

まるで捨てられたダンボール箱の中でプルプル震えている子犬の

ようです。


その後「片岡」は「青木」の親に謝りに行ったそうです。

昔からの友達なので特別怒られはしなかったみたいですけど

きっと辛かったと思います。

ちなみに同乗していたσ(^_^)と「前田」はシカトしちゃいました。

今となっては貴重なパブリカ。

しかもヨタハチと同じツインキャブ仕様だったのに。

若気のいたりでそんな貴重な車をつぶしてしまいました「片岡」が。

えっ?もちろん「片岡」以外の3人に責任は全然無いっす!

当たり前じゃないっすかぁ〜



<教訓>シートベルトは、やっぱ大事!



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